映画「ぼけますから、よろしくお願いします」

先週土曜日に、カトリック映画賞授賞式に行った。ホントは夫と行く予定だったけれど、夫は仕事が入ってしまったので、難聴の友だちを誘った。日本語字幕つきの映画だと言うのを忘れてしまった。手土産にパンを焼いてきてくれた。それも、人生2度目のパンで、出かける15分前に焼き上がる設定だったらしい。話はカトリック映画賞授賞式に戻る。シグニスという団体が、毎年、カトリックの思想に合う映画をひとつ選び、映画監督に賞を差し上げている。今年の映画は、信友直子監督の「ぼけますから、よろしくお願いします」。なんの予備知識も入れずに出かけた。50代の直子さんが、認知症になった80代のお母さんと超高齢の、90代のお父さんの面倒を見る映画かな、と思っていた。違った。それだけではなかった。直子さんが45歳のときに乳がんになり、抗がん剤の副作用で髪の毛が抜けて泣き言を言っていたとき、前向きな言葉で娘を励ましていたお母さん。いつも居間兼寝室で新聞を読み、英語の勉強をしている。お父さんの姿も。3人家族の作品だと思う。お父さんは、耳が遠いので、同じことを3回は聞き直す。補聴器はつけないのかな。お母さんが「お昼」といっているのにお父さんは「オリーブ?」と聞き返す。驚いたのは、洗濯機が二そう式で、かつ、すすぎは、お風呂場にしゃがみこんで、洗面器で手洗い。節約志向の、お母さんのやり方。年を取ると、新しいやり方に慣れるのが大変だものね。富山の家では洗濯機を買い換えたばかり。洗剤をどこにどのくらい入れればいいのか、わざわざ私、富山に教えに行ったもんね。そしてこの間、母の代わりに洗濯物を干すことになった。そしたら「ふたの開け方、わかる?」と真面目に聞かれた。「もちろん、わかりますよ!」折り畳みになるふたです。話は映画に戻る。お母さんの認知症が進行し、料理や洗濯ができなくなってきたら、お父さんは、95歳という年齢で、今までやったことのない家事を始めた。お母さんと同じやり方で。洗濯機を買い換えるとか言わないで、膝が痛いというのに、お風呂場で手洗い。リスペクトしているんだなあ、すごいなあと思った。そして、お父さんとお母さんの本気のけんかシーンもある。お父さんは、お母さんが感謝を言い表さないことに怒っていた。お母さんは、「包丁持ってきて!もう死にたい」と言ってたけど、その言葉の裏には、夫に甘えたいという気持ちがあるのだ。ラブラブなの。年を取って、弱くされてもなお、人間は成熟していくんだなと思う。印象に残っている監督の言葉。「介護生活は、親が命懸けでしてくれる最後の親孝行です」イサクパソコン隊。知らない方が増えていた。頼もしいことだ。授賞式のあと。撤収がはやい。

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